プライバシー侵害とは何か?
ネット上の書き込みでは、しばしばプライバシーの侵害が問題になります。芸能人のSNSが炎上するニュースはよく耳にしますが、一般人でも掲示板に書かれた誹謗中傷が元で訴訟まで至るケースは少なくありません。匿名で意見を発信できるネット上での発言では法律が追いついていない部分も多く、何をどこまですれば罰せられるのか判断が難しい場合もあります。しかし、そういう発言をすること自体が論外にしても、一線を越えるのがどのラインからなのかは、万が一自分が被害者になってしまった時のためにも、知っておいて損することはないでしょう。
プライバシー侵害はその人の社会的地位を貶める名誉毀損と異なり、その人の私生活を勝手に公開して心理的な不安を与えることです。よって、名誉毀損は相手が誰なのかはっきりしている行為なのに対し、プライバシーの侵害は相手が誰なのかはっきりさせる行為それ自体にあたると言えます。よって住居をネット上に公開してしまうといった場合でない限り、名前や言動が逐一メディア上で既に公開されている有名人よりは、一般の人の方が認定されやすい人権侵害でもあるのです。
プライバシー侵害の事例
例えばネットの掲示板などに友人や知人の誰かのプライベートのことを書き込む時、無断でそれが誰かを特定できる情報と一緒に書き込んでしまえば、仮に訴えられればアウトになります。実は氏名だけでは明確な個人情報であるとは必ずしも言えません。ありふれた姓名であれば「同姓同名の人もいるから」という言い訳をされる恐れがあるからです。しかし、氏名を全く出さなかったとしても、性別や年齢、住所、勤め先や人相といったその人を特定できてしまう情報があれば、個人情報として認定されることになります。文字情報でなくとも、写真などでも個人情報に認定されることがあります。
絶対やってはいけないことですが、自分の通う大学で単位をくれなかった先生の悪口をネット上に書き込んだとして、相手のことを何も書かずただの誹謗中傷に留めてしまえば、特に問題にはならないでしょう。氏名だけを書いた誹謗中傷なら、上に書いたようにプライバシー侵害にはならず、名誉毀損のみにあたる可能性が高くなります。しかし、復讐のためにその先生の住所や連絡先、プライベートの盗撮映像などを合わせてアップロードしてしまうと、名誉毀損に加えプライバシー侵害の罪も加わります。ここまでくると犯罪行為にあたり、実際の逮捕例などもあるため、ネット掲示板の利用には十分な注意が必要です。